チョウが飛び出す気温
寒い寒い軽井沢にも、暖かな日と寒い日が交互に訪れながら、次第に春が近づいています。3月20日はとびきり暖かく、昼過ぎのピッキオでは、温度計が15℃を指していました。気温が14〜15℃くらいまで上昇すると、チョウが活動を始めます。そう思って、少し森を歩いてみました。
遊歩道を歩いて行くと、突然茶色いチョウが飛び立ちました。目で追いながら舞い降りた場所に近付くと・・・。いました。「シータテハ」です。
そっと接近して写真を撮影しようとしましたが、すぐに翅を閉じてしまいます。チョウは変温動物。体に当たる太陽光の熱によって、体温を調節しています。翅を閉じたのは、体が十分に暖かいので、これ以上体温を上昇させないためです。しばらく翅を開くのを待ちましたが、一向に開きません。そこで裏技。そっと手をかざして影を作ると、日が当たらなくなったシータテハは、すぐに翅を開いてくれました。
手をどかして写真を撮ると、またすぐ翅を閉じてしまいました。そこで今度は横から撮影しようと思ったのですが、他のシータテハが飛来して、2匹でもつれ合いながら飛んで行ってしまいました。
しばらくすると、白いチョウがヒラヒラ飛んでいるのを見つけました。スジボソヤマキチョウのメスです。枝先に止まっては飛ぶ動作を繰り返しています。産卵場所を探しているようです。時々地面に舞い降ります。おそらく体温が下がったので、地面で日光浴をして体温を上昇させるつもりでしょう。そう思って、止まった場所を見定めて接近しますが、どうしても見つけることができません。飛び立つチョウを追い、舞い降りた場所を探し・・・を繰り返し、ようやく1枚だけ撮影に成功しました。
タテハチョウの仲間と違い、スジボソヤマキチョウは翅を開いて止まりません。体を温めるときは、閉じた翅を傾けて日光を受け止めます。飛んでいると目立つスジボソヤマキチョウですが、こうして止まっていると明るい色の枯れ葉にそっくりで、なかなか見つけることはできません。
この日観察することができたチョウは、この2種類だけでした。でも次の暖かい日には、もっと他のチョウが見られるかもしれません。キタテハにエルタテハ、キベリタテハ、ルリタテハ、クジャクチョウ、テングチョウ・・・早春に活動する成虫越冬のチョウたちは、まだまだ何種類もいます。そしてすぐ後には、ミヤマセセリやスギタニルリシジミといった、早春にサナギから羽化するチョウも飛び始めます。気温が15℃近くまで上がったら、またチョウを探しに出かけることにしましょう。
大塚