日本獣医生命科学大学に行ってきました!
去る5月21日、東京都武蔵野市にある日本獣医生命科学大学に行ってきました。目的は同大学の獣医学部・獣医保健看護学科で実習を行うためです。
同大学とはもう10年以上、軽井沢のツキノワグマの主に遺伝子や生息地利用の面で共同研究をさせて頂いておりますが、今回の実習のテーマは「ベアドッグ」です。
クマの生息と人の安全な生活の両立を図るため、その架け橋となり働くベアドッグ。
日本では「ベアドッグ」という職業犬の認定はありませんが、アメリカではその認定制度があります。私たちが提携している米国のWind River Bear Institute(以下、WRBI)で職業犬になるための訓練を受けた犬たちは、州政府の認定を受けて北米の国立公園を中心に活躍しています。
もちろん同大学では野生動物の保全や、犬などの家庭動物の飼養や看護、しつけに関する授業は大変充実しているようですが、今回はその両方に関わる、しかも働く犬としてのベアドッグの育成やハンドリング方法、その仕事ぶりに興味を持ってくださり、この度、同大学から実習を請け負うことになりました。
今回は2学年合同での開講で学生数は約200名。
内容としては、前後編の2パートに分け、前編は90分×2コマの座学で「1.ベアドッグ導入の背景」、「2.カレリアン・ベアドッグという犬種の歴史と性質」、「3.WRBIと米国で活躍するベアドッグ」、「4.ベアドッグの仕事と成果」、「5.国内初のベアドッグ繁殖育成プロジェクトの背景」、「6.ベアドッグ育成施設、及び子犬適性テスト、社会化訓練や実践訓練の概要」を講義し、後編では現役で活躍中のベアドッグ「タマ」との触れ合いやハンドリング実演を行いました。
昼食直後ということで、非常に眠たい時間帯だったのですが、とても熱心に受講してくれました。日頃は家庭動物の看護について学ぶこと多い一方、野生動物保護管理の現実や職業犬については学ぶ機会はあまり多くないようなので、刺激的だったのかもしれません。
学生からは「田中さんは近い将来、若手のハンドラーは育成しないのですか。」という突っ込んだ質問もありました。今は国産のベアドッグの繁殖育成の課程を確立するためにがんばっていますが、今後はベアドッグを普及させていく上で、その持ち手となるハンドラー(飼育兼訓練士)の育成も必要不可欠となります。
今回質問してくれたような、人と動物のために働きたいという熱意ある若者は、たくさんいます。彼らのような若者を次世代のハンドラーとして育成していく(後継者を残す)こと、それこそが私の最後の使命だと思います。
関係する団体や教育機関と連携をさらに深めながら、人・犬ともに次世代に繋げる取り組みを着実に進めなければと、改めて実感させられました。
田中