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あの動物が巣箱で冬眠!?

軽井沢でも、ようやく桜が咲き始めました。そろそろ冬眠していた動物たちも、目覚めて動き始める季節です。今回は、そんな動物たちがまだ冬眠していた、1ヶ月半ほど前のお話・・・。

小鳥たちの繁殖期に備え、ピッキオでは巣箱の清掃を始めました。昨年使用された巣箱には、野鳥が運び込んだコケや獣毛などの「巣材」が残されています。小鳥たちに巣箱を使ってもらうためには、この残された巣材を掃除して、綺麗な状態に戻した方が良いのです。ひとつひとつ蓋を外して、中の巣材を取り出していきます。

ある巣箱から、奇妙な巣材が出てきました。コケを敷き詰められて作られた巣の中央、母鳥が卵を温めていたくぼみ(産座)を覆うように、オニヒョウタンボクの樹皮が丸く編み込まれてボール状になっているのです。何かの巣のようです。

 

巣箱から取り出した謎の巣材

 

オニヒョウタンボクの樹皮を巣材に利用する動物なら心当たりがあります。「ヤマネ」です。小鳥の子育てが終わった夏の頃、樹洞にコケと樹皮を使った巣を作り、子育てをするのです。この巣は、夏にヤマネが子育てをした名残なのでしょうか?

 

そう思いながらも念のため、樹皮をそっとめくってみると・・・

 

なんと!ご在宅でした!!

 

巣箱で冬眠するヤマネ

 

この巣箱で冬眠していたようです。するとこの巣は、冬眠のために作られたのでしょうか?それとも子育てに使用した巣を再利用したのでしょうか?「巣箱で冬眠していた」とか「別荘の押入れの布団から転がり出てきた」という話は聞いたことがありますが、実際に他の例を見たことがないので、これが冬眠の通常の状態なのかよく判りません。

とにかく、見てはいけないものを見てしまった感じです。冬眠中のヤマネを覚醒させてしまうと、エネルギーを浪費して春まで生き延びられないかもしれません。それにヤマネは国の天然記念物。移動させてしまうと「文化財の現状変更」? この写真だけ撮影し、そっと巣材を上にかぶせ直すと、再び巣箱の中に戻しました。

ヤマネは冬眠中でも気温が下がりすぎるなどの危機に直面すると、覚醒して場所を移動することがあるそうです。時々、雪の中から見つかるヤマネも、そうやって雪に潜ったのでしょう。このヤマネも今回の危機を乗り越えて、冬眠に成功すると良いのですが・・・。ヤマネが冬眠から覚めて活動を開始するのは4月頃。どうかそれまで無事でありますように・・・。

大塚

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