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夏のキアゲハとアキアカネ

軽井沢野鳥の森の遊歩道を登っていくと、急に視界が開ける場所があります。20年以上前に、カラマツ林を切り開いて作られた草地です。草地に沿った遊歩道を上り詰め、アカゲラ休憩所の手前で振り返ると、そこには浅間山の勇姿がそびえています。視界の中に人工物が何も入らない、とっておきのスポットです。

 

アカゲラ休憩所前から見た浅間山

 

この眺望を維持するためにも、木が茂らないように刈り払いをおこない、草地を維持しているのですが、そこには様々な野草が咲き、虫たちも集まります。1枚目のキアゲハもそんな虫のひとつです。

このキアゲハは、シシウドの花がお気に入りのようで、何度もシシウドの花に止まっていました。あれっ?でも良く見ると、蜜を吸っているのではなさそうです。腹部をキュッと曲げ、その先端を花の集まりにくっつけています。お尻で蜜を吸う訳はありませんよね・・・。

 

シシウドの花でお尻をキュッと曲げるキアゲハ。口のストローは伸ばしていない。

 

実はこれ、産卵行動なのです。キアゲハは幼虫時代、セリ科植物を食べて育ちます。ニンジンやパセリ、ミツバでも育つのですが、シシウドも食草のひとつ。そしてシシウドでは、花が終わった若い実を食べて育つのです。しばらくしたら、再び見に来てみましょう。きっとキアゲハの幼虫、黒い段だら模様が入った緑色のイモムシが育っていることでしょう。

 

アキアカネ

 

草地では、アキアカネの姿も見られました。アキアカネの多くは水田で幼虫時代を過ごし、トンボになると高い山へと避暑のために移動します。夏に登山に行けば、山の上で大量のアキアカネに出会うことでしょう。

しかしそれほど高くない、標高1000m程度の軽井沢野鳥の森でも、夏を過ごしているアキアカネが少数いるのです。まぁ一応避暑地ですから、アキアカネが避暑していても良いのですが、もっと高い山に登ってもいいのに・・・。ひょっとすると、地元生まれで移動しないアキアカネがいるのでは?そんな想像をするのですが、実際にそれを科学的に確かめるとなると、なかなか難しそうですね。

大塚

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