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「水玉模様」に「ろくろ首」

木々の葉が広がって森が新緑に覆われる5月末から7月初めにかけて、森に小さな職人が現れます。1枚の葉っぱから小さな巻物を作る昆虫「オトシブミ」です。その仕事ぶりは何度見ても興味深く、この季節になると、ついつい姿を探してしまいます。

 

クリの葉を巻くゴマダラオトシブミ♀

 

葉っぱの巻物は、オトシブミのメスが作った「ゆりかご」。その中に一粒の卵を産み付けます。孵った幼虫は巻かれた葉の内側を食べ、できた空間の中で蛹になり、羽化して成虫になるとゆりかごの壁に穴を穿って出てくるのです。オトシブミは種類により、食べる葉っぱの種類も決まっています。この水玉模様の「ゴマダラオトシブミ」は、クリの葉がお好みです。

 

黒いゴマダラオトシブミ

 

同じクリの木に、黒いオトシブミも見つけました。実はこれも「ゴマダラオトシブミ」。黒い水玉模様が小さなものから、模様同士がつながってこのようにほぼ真っ黒なものまで、様々な個体がいるのです。クリの葉の片側に切れ込みを入れて、これからこの葉を巻こうとしています。葉っぱに比べて、とても小さい虫であることが判ると思います。体長は7〜8mmほどしかありません。

 

オトシブミ♀

 

やはり同じクリの木に、赤と黒のツートンカラーのオトシブミを見つけました。こちらは普通の「オトシブミ」。ゴマダラオトシブミと異なり、クリの葉に両側から切れ込みを入れ、最後に「ゆりかご」を切り落としてしまいます。

 

ヒゲナガオトシブミ♂

 

アブラチャンの葉の上に、まるでろくろ首のような長〜い首のオトシブミを見つけました。「ヒゲナガオトシブミ」のオスです。この長い首は、オス同士が闘う時に使われます。2匹で向かい合わせに抱き合い、首の長さを競うような行動をするのです。

 

ヒゲナガオトシブミ♀

 

メスの首は、それほど長くありません。やはり首の長さは、オスにとってのみ重要なのです。カブトムシの角や、クワガタムシの大アゴと同じような、オス同士の闘争の武器なのです。

 

ヒゲナガオトシブミの交尾

 

巻き終えたゆりかごの上に、ヒゲナガオトシブミのペアがいました。首の長さの違いがよくわかりますね。このオスは他のオスとの闘争に勝利したのでしょうか?

夏が盛りを迎える頃には、次第にオトシブミの姿を見なくなります。ゆりかごから這い出した若いオトシブミは、そのまま冬を越し、来年の新緑の頃、再び葉っぱを巻き始めます。

大塚

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