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ぶんぶんぶん、ハチが飛ぶ

秋口はハチが目立つ季節です。特にスズメバチの仲間は、刺されると痛いですし、人によっては急性アレルギー反応(アナフィラキシーショック)を起こして、場合によっては死に至ることもあるので注意が必要です。なぜ秋口に目立つかといえば、春に1匹の女王バチが作り始めた巣が大きくなり、働きバチの数が最も多くなるからです。

先日、軽井沢野鳥の森で、ヤマウドの花にキイロスズメバチが集まっているのを見つけました。キイロスズメバチは花を訪れて、そこに集まるハエや小さなハチを襲って肉団子にし、巣に持ち帰って幼虫の食料にします。しかし今回は、ヤマウドの花の蜜がお目当てだったようです。一心不乱に花の中を歩き回り、次々と花を舐めていました。ヤマウドの花は蜜腺が露出しているので、舌が短いスズメバチでも蜜を舐めることができるのです。

 

ニアミス?

 

時々、キイロスズメバチ同士が接近すると、1匹がもう1匹を追い払うような姿も見られました。しかしあんまり花の蜜に夢中になっていると、お互いに相手に気付かずにこんなツーショットになることもあります。

「こんな写真を撮って危なくないの?」そう思う人もいるでしょう。望遠レンズで1.2m程の距離から撮影していますが、急な大きい動きさえしなければ、ほぼ私のことは無視してくれるので、マクロレンズでもっと近寄ることも可能です。ただ一般的に、香水の匂いや黒い服装は、スズメバチを興奮させると言われているので、避けた方が無難でしょう。

 

オオマルハナバチ

 

マルハナバチの仲間も、やはり秋口に働きバチが多くなり、よく見かけるようになります。体が大きく、羽音もよく響くので、「キャー!ハチこわい〜」とか言われてしまいますが、実際には指で背中をなでなでしても怒らないほどおとなしいハチです(注:ぎゅっと押さえつけたら刺されます)。よく見ると長い毛に覆われてモフモフなので、ついつい触りたくなりますが、あまり強く押さえないように気を付けましょう。

 

トラマルハナバチ

 

軽井沢野鳥の森でよく見られるマルハナバチ類は、上の「オオマルハナバチ」と、この「トラマルハナバチ」の2種類です。オオマルハナバチは舌が短めですが、花の横に穴を開けて蜜を盗んだり、花にぶら下がって振動で花粉を集めたりと、面白い技を持っています。トラマルハナバチは長い舌を持ち、花の奥深くの蜜を吸う事ができるため、さまざまな花に受粉を期待されています。

 

ツリフネソウから飛び立つトラマルハナバチ

 

今が盛りのツリフネソウも、トラマルハナバチに受粉を助けてもらっています。ラッパ型の花はトラマルハナバチにピッタリサイズです。中に潜り込んだハチはいちばん奥のくるんと巻いた「距(きょ)」に溜まった蜜を吸います。天井からは雄しべと雌しべの束が下がっていて、ハチが花に出入りする時、背中から頭にかけて花粉が付着するのです。この写真でも、オレンジ色の背中から黒い頭にかけて、白い花粉が付着しているのがわかります。

ここまで形や大きさがピッタリなのは、両者が長い年月をかけて関係を築きながら共進化してきた結果です。しかも軽井沢野鳥の森だけでも、トラマルハナバチにピッタリの花が春から秋まで何種類も咲き続けるのです。「何もそこまで」と思うほどピッタリな花たちは、もうトラマルハナバチ無しでは効率よく受粉できないでしょう。花からはみ出したモフモフのお尻は、花と虫の深い関係と、長い進化の歴史を示しているのです。

さあ、ハチたちと刺されない程度にお近付きになってみませんか?

大塚