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南へ…

秋の訪れとともに、軽井沢野鳥の森にもアサギマダラが姿を現すようになります。先日、アカゲラ休憩所前の草地で、1匹のアサギマダラに出会いました。1枚目の写真は、ノコンギクで吸蜜する姿です。

アサギマダラは幼虫がイケマなど、ガガイモ科の植物の葉を食べて成長し、羽化した成虫は秋になると南へと移動します。この「チョウの渡り」を調べるために、各地で標識調査がおこなわれており、長野県でも各地でアサギマダラが好むフジバカマが栽培され、そこに集まるアサギマダラへのマーキング(翅に標識となる番号などを書き込んで放す作業)がおこなわれているのです。標識調査の結果から、アサギマダラが本州から沖縄や台湾まで渡っていることが判明しています。そしてさらに先、中国大陸まで渡っている可能性もあるそうで、実際にどこまで渡っているのか、まだよく解っていないようです。北アメリカ大陸で渡りをするオオカバマダラのように、どこかにアサギマダラの集団越冬地があるのでしょうか?

 

ゴマナで吸蜜するアサギマダラ

 

というわけで、アサギマダラというとフジバカマや、その仲間であるヒヨドリバナ、ヨツバヒヨドリなどの花に集まる印象があるのですが、もちろん他の花にも訪れます。軽井沢野鳥の森に生育するヒヨドリバナの花はもう終わってしまいましたので、この日はノコンギク、ゴマナ、シラネセンキュウの花で吸蜜していました。

 

シラネセンキュウで吸蜜するアサギマダラ

 

アサギマダラが花から花へと飛び交う姿は、滑空を交えたゆっくりとした羽ばたきで、とても優雅に見えます。細身の軽い体と長く伸びた前翅は、滑空を交えながら長距離を低燃費で飛行するために進化した姿なのでしょう。しかしこんなフワフワとした飛び方で、天敵には襲われないのでしょうか? 実はそこにも秘密が…。幼虫の食草であるガガイモ科植物には毒があり、アサギマダラはその毒を体内に貯め込んで身を守っているのです。ゆったりとした飛び方には「翅のもようをよく見てちょうだい。私の一族は毒を持っているのよ。食べられるものなら食べてみなさい」という意味も込められているのです。

そんな毒を持つアサギマダラ。今人気のアニメ作品に出てくるキャラクターのモチーフにされているようです。娘がそのキャラクターを好きなので一緒にアニメを見るのですが、衣装を見た時から「アサギマダラだなぁ」と思っていました。そのキャラクターは薬学に精通し、毒を用いて敵を倒し、まだアニメ化されてない原作漫画では毒を摂取して体内に溜め込んだ上、最期は敵に食べられることで蓄積した毒で敵を倒すという結末。作者はアサギマダラの生態からこのキャラクターをデザインしたと、私は想像しています。

そんな大人気(?)のアサギマダラ。南への旅は始まったばかりです。写真の個体はメスですが、一体どこまで渡るのでしょうか? そしてどこで産卵するのでしょう? 彼女の旅が無事に終われば、その子どもたちは来年の初夏、南から軽井沢に渡ってくるかもしれません。

大塚