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冬の森の落とし物

冬枯れの森を歩いていると、ついつい野鳥の動く姿ばかりを探してしまいがちです。でもちょっと目線を変えると、様々なものが見つかりますよ。

1枚目の写真はヤマアジサイです。花の集まりを囲んでいた装飾花が、萼片を残したまま枯れて、冬の傾いた陽に透かされ、ステンドグラスのように輝いています。よく見ると、咲いていた時は空を向いていた装飾花が、すべて反転して内側に巻き込むような向きになっています。この変化には何か意味があるのでしょうか?

 

冬の森では、足元が凍っている場所も多いので、ついつい下を向いて歩くことが多くなります。すると地面に落ちているものが、自然と目につきます。

 

フジの豆のさや

 

最近、よく目につくのが、長さ20センチほどもある大きな豆のさや。はるか20mほどの高さの樹冠部から落ちてきた、フジの豆のさやです。このさやには未熟な豆が3つ残っていますが、成長した豆はちょうどおはじきくらいの大きさで、さやが割れた時に弾き飛ばされ、地面にばら撒かれました。

この写真は朝に撮影したもので、全体に霜がついています。陽が差すにつれ、湿っていたさやは乾燥していきます。すると・・・

 

乾燥したフジの豆のさや

 

長いさやがねじれています。この「乾燥するとねじれる」という性質が、2枚ぴったりと張り付いていたさやを弾けさせ、豆を飛ばす原動力になるのです。

 

動物の痕跡も落ちていました。

 

樹皮がなくなったカラマツの枝

 

雪の上に落ちていたのは、樹皮が綺麗に剥がされたカラマツの小枝です。これはムササビの食痕。普段は木の葉や実を食べているムササビですが、冬の間は樹皮や冬芽などを食べているのです。

 

ニホンリスの食痕も落ちていました。

 

ニホンリスが食べたオニグルミ

 

オニグルミの殻が2つに割れ、周囲が削られていたら、それはニホンリスの食痕です。リスはクルミの実(種子)の硬い殻を、縫合線に沿って前歯で削り、2つに割って中身を食べるのです。

ところでオニグルミの実が熟すのは夏の終わり。リスはその種子を木の穴や地面に隠し、食料が乏しくなる冬に再び取り出して食べる「貯食」をします。今頃になって遊歩道の真ん中で見つかったこの殻も、きっとどこかに隠されていたクルミを、最近になってリスが食べて落としたのでしょう。

 

大塚

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