先日実施した「軽井沢野鳥の森」の鳥類調査の際、遊歩道にウワミズザクラの実や枝先がいくつも落ちている場所を見つけました。
落ちていたウワミズザクラの枝と実
何かの動物が樹上で、ウワミズザクラの実を食べたようです。周囲の地面を探すと、糞も落ちていましたよ。
種がいっぱい入った糞
丸っこいウワミズザクラの種子と、細長いクマヤナギの種子がたくさん入っているようです。黒く見えるのは、果実の皮の部分でしょう。あまり大きな糞ではありませんが、あたりにいくつかの固まりが落ちていました。糞がソーセージやバナナ状の形であれば、太さで落とし主の大きさが想像できるのですが、形がはっきりしません。散らばっている様子も含めて考えると、どうやら樹上で排泄した糞が、バラけながら地面に落ちたようです。
樹上で果実を食べる動物・・・想像つくのはまずツキノワグマ。他にはニホンザル、テン、ハクビシンあたりでしょうか? でもテンやハクビシンにしては、糞の量が多すぎるようです。ニホンザルは手足で木の幹や枝をつかんで登りますが、ツキノワグマは幹に爪を立てて登ります。食べたのがツキノワグマであれば、幹に爪痕が残っているかもしれません。そう思ってウワミズザクラの幹を見ると・・・ありました。
ツキノワグマの爪痕
鋭い爪が樹皮に刺さった痕が、いくつも残されていました。指の形に並んだ爪痕の下には、樹皮が擦れたような痕も残っています。足の裏が当たっていた部分ではないでしょうか? ツキノワグマは幹に爪を立てると同時に、足の裏も幹に密着させ、力を込めて幹を登っているようです。
樹液が滴る爪痕
爪痕の中には、樹液が滴っているものもありました。傷口から流れる樹液がまだ止まらない程、新鮮な爪痕だったようです。ツキノワグマがこのウワミズザクラに登ったのは、私が歩くほんの数時間前だったのかもしれませんね。
その後、軽井沢野鳥の森にある他のウワミズザクラ数カ所でも、新しい爪痕が見つかっています。クマ保護管理チームの調査では、軽井沢町を含む浅間山麓のウワミズザクラは、今年豊作だそう。今がツキノワグマにとって、ウワミズザクラの実を食べるベストシーズンです。散策の際は特に注意して、是非クマ鈴を鳴らしながら歩いてください。
大塚