ニホンリスのお食事
先日「軽井沢野鳥の森」の遊歩道を巡回していた時のことです。遊歩道上の地面に、アカマツの松ぼっくりの鱗片が、いくつも落ちているのに気付きました。
先端が緑色をしています。まだ緑色をした、木になっている松ぼっくりから鱗片を剥がし、その隙間にあるはずの若い種子を食べている者がいるのです。きっとムササビかニホンリスのどちらかでしょう。周囲を探せば、食べ残した芯の部分、通称「エビフライ」も見つかるかもしれません。
遊歩道上には見当たらないので、周囲の茂みを覗き込むと・・・ありました。
とても新鮮(食べて間もない)なエビフライです。ただ、これらの食べ痕だけで、その製作者がムササビなのか、ニホンリスなのかを判別するのは困難です。そう思いながら写真を撮影していると、パラパラと新たな鱗片が落ちてきました。
「あれ? 上にいる?」
見上げると、はるか上のアカマツの梢を、フワフワしたしっぽを揺らしながら、ニホンリスが枝から枝へと走って行きました。本当に、今さっき食べていたんですね。
「リスは撮れなかったなぁ・・・」
そう思いながら森から出てくると、小瀬林道の入り口にあるオニグルミの木で、再びニホンリスに出会いました。枝先を走り回り、オニグルミの緑色の実をくわえると、太い横枝まで降りてきて、実をかじり始めました。
オニグルミの実を前足で回しながら、器用に緑色の果皮を前歯で剥がしていきます。そして種子が露わになると、その殻の継ぎ目に前歯を当てて、ジョリジョリとかじり始めました。殻の継ぎ目に沿って齧っていくと、ぐるりと溝が掘られていきます。
ひと回り溝を掘り終えると、殻はパカっと2つに割れます。すると割れた一方を口にくわえ、もう一方を両前足で持ち、その上にくわえていた方をのせます。つまりどんぶりを2枚重ねにしたような状態で、両側から前足で持ち、種子の中身を食べるのです。今回、その様子は動画で撮影したので、2枚重ねになっている場面を動画から切り出してみました。
そして上の1枚目を食べ終わると、ポイッと捨てて、2枚目を食べ始めます。
ニホンリスは、木の実の種類によってどのように食べたら良いか、ちゃんと知っているのです。器用なものですね。
大塚