ムササビの冬メニュー
ピッキオの「空飛ぶムササビウォッチング」は、冬の間は開催していません。ムササビはどうしているのでしょうか?
冬眠?
いやいや、実はムササビは冬眠しない動物です。ちゃんと夜になると森へ出かけていきますよ。ただ、夜が長くなったため、あわてて出かける必要がないのか、それとも細く裂いた樹皮を敷き詰めて作った寝床から、寒くて出たくないのか、なかなか時間通りに巣から出てきてくれません。いつ出るともわからないムササビを氷点下の森で待つのは、軽井沢の寒さに慣れているスタッフでも辛いものです。そこで寒さが緩み、巣から出る時間が安定してくる3月まで、ツアーをおやすみしている訳です。
しかし一方で、地面が雪で覆われた冬は、ムササビの痕跡を見つけやすい季節です。軽井沢野鳥の森の一角にあるミズナラ林では、地面にムササビが落とした「食痕」がたくさん落ちていました。
1枚目の写真は、ムササビが冬芽を食べたミズナラの枝先です。ムササビは枝先をかじり取ると手に持って、冬芽だけを器用に食べると、残した枝を捨てていくのです。
積雪の上には、冬芽をおおう芽鱗(がりん)もたくさん落ちています。冬芽の中身だけを食べて、まわりの皮の部分は捨ててしまうのです。
芽鱗と一緒に、ムササビの糞がいくつも落ちていました。直径5㎜前後の球形をした、木屑を固めたような糞です。
ミソサザイの沢では、カラマツの小枝の樹皮を食べた痕も落ちていました。やはり小枝を噛み切って手で持ち、樹皮をボリボリと食べて残りを捨てていきます。
この場所は、昨年もたくさんの食痕が落ちていました。見上げると、ちょうど真上の斜面にカラマツが立っています。写真ではわかりにくいのですが、下の方の枝は細い小枝がすっかりなくなっています。まさかムササビに食べ尽くされてしまったのでしょうか?
食痕を探していると、何本もある同じ種類の木でも「よく食べられている木」があるのがわかります。その理由はわかりませんが、このカラマツもムササビの「お気に入り」のようです。
大塚