ねばねばべとべと
今シーズンは、冬の渡り鳥が全体的に少なかったです。
軽井沢野鳥の森では、アトリやマヒワをほとんど確認できませんでした。ツグミでさえ、稀に見かける程度です。シメは多いように感じましたが、カエデ類の種子を食べ尽くすと、何処かへと移動してしまったようです。コンスタントに出会えるのは、ルリビタキにベニマシコ。しかし今年は積雪が少なかったので「食べるのに必死」な機会も少なく、あまり相手にしてくれませんでした。
そんな中、2月も半ばを過ぎてから、レンジャク情報を耳にするようになりました。軽井沢野鳥の森周辺では、西隣を流れる湯川に沿って、何ヵ所もヤドリギが集まった場所があります。どうやらヤドリギの実を求めて、群れで行ったり来たりしているようです。ピッキオ周辺のヤドリギでも、時々その姿を見ることができました。
ただ、場所が高い!
地面から見上げたのでは、空を背景に逆光になってしまい、とても写真にはなりません。「撮れるとしたらあそこしか無いよな〜」そう思いながらたくさんのヤドリギに憑かれたズミの木を、通りかかるたびにチェックしていましたが、ついにレンジャクがヤドリギの実を食べている瞬間に出会うことができました。
枝が密生したヤドリギに潜り込むように実を食べているので、何羽いるのかよくわかりません。しばらく見ていると、どうやら4〜5羽程度しかいない小さな群れのようです。見える場所に出てくるのを確認すると、すべて尾羽の先が赤いヒレンジャク(緋連雀)のようです。
ヒレンジャクは時々ヤドリギから出て、湯川へと舞い降りて行きます。薮の向こうで良く見えませんが、岸辺に降りて水を飲んでいます。そして再びヤドリギに戻るを繰り返していました。
さらに、糞をする様子も観察できました。ヤドリギの果肉はねばねばべとべと。糞になってもまるで納豆のように糸を引きます。上の写真では、肛門から垂れ下がる糞の他に、尾羽に絡み付いた糞もあり、2本の糸を引いた糞がぶら下がっています。
この粘着質の糞は、落ちる過程で枝に触れると、ペタッと枝に貼り付いてしまいます。その中には未消化の種子が・・・。種子は発芽すると、そのまま枝に根を喰い込ませて寄生生活を始めるのです。
ヤドリギは、所々に集まって生育しているように見えます。どうやらそれは、レンジャクなどの野鳥がヤドリギのある場所にとどまって、「食べては糞をする」を繰り返した結果のようです。
大塚