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由々しき事態

軽井沢を含む関東甲信地方は、6月8日に梅雨入りしました。軽井沢野鳥の森では、梅雨の到来を告げるサワギクの黄色い花が咲きはじめています。雨上がりの6月12日、軽井沢野鳥の森の遊歩道を歩きながら、開花植物を記録しました。

草の花:ムラサキケマン、キタマムシグサ、ウワバミソウ、ヤマジノテンナンショウ、サワギク、クルマムグラ、ヒメヘビイチゴ、フタリシズカ、オニタビラコ、ルリソウ、ハルジオン、クサノオウ、タニギキョウ、カルイザワテンナンショウ、エゾノタチツボスミレ(見つけた順)

木の花:エゴノキ、マユミ、コゴメウツギ、ミズキ、ニシキウツギ、カンボク、ノイバラ、ホオノキ、ヤブデマリ、ツルウメモドキ(見つけた順)

 

フタリシズカ

 

やはり梅雨時に目立つようになるフタリシズカ。2本の花序が並んだ姿を、静御前とその亡霊が舞う姿に例えて「二人静」と呼ばれます。しかし見ていると、花序は1本から5本くらいまでバリエーションがあり、必ずしも2本とは限りません。写真を撮るために、ついつい2本の株をさがしてしまいます。

 

カルイザワテンナンショウ

 

マムシグサの仲間は、どうやら軽井沢野鳥の森には3種類が生育しているようです。もっとも遅くに咲くカルイザワテンナンショウ(現在はヤマトテンナンショウと同種とされていますが、ここは軽井沢なのであえて旧称を使います)も咲き揃いました。

 

ヤマジノテンナンショウ

 

マムシグサの仲間で最初に咲き始めたのが、この種類。どうやらヤマジノテンナンショウという種類のようです。早くに咲いた株は、もう花が終わり始めています。

 

キタマムシグサ

 

こちらはキタマムシグサのようです。現在、これら3種類が同時に咲いていますが、開花のピークは少しずつずれているように思います。ちゃんと調べてみたいですね。

 

これらマムシグサ類の花には、雄花と雌花があります。匂いで誘き寄せられた虫は、雄花に落ちると花粉まみれになって、花を覆う筒の下にある穴から脱出します。そして雌花に引き寄せられて中に落ちると、花粉が運ばれる訳です。しかし雌花には脱出口がありません。受粉に貢献した虫は、そのまま命を落としてしまうのです。

そんな仕組みを持つマムシグサですので、脱出口の有無で雄花か雌花か見分けることができます。ですがガイドに出たスタッフから、奇妙な話を聞きました。

「マムシグサの雄花の穴が、何か白い綿のようなもので塞がれている。」

脱出口が塞がれてしまっては、花粉を付けた虫が雌花に飛んで、マムシグサを受粉させることができなくなってしまいます。これは由々しき事態です。先日、スタッフ数人で森を歩いた際に、その状況を確認してみました。そして穴を塞いだ犯人の特定に成功しましたよ。

 

犯人は小さなクモ

 

小さなクモが、糸で脱出口を塞いでいました。でも何のため? 中から出てくる虫を捕らえて食べるのでしょうか? 結局、穴を塞いでいる理由までは特定できなかったのですが、マムシグサにとっては何とも迷惑な話ですね。

大塚

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