先日、鳥類調査を実施した時に、軽井沢野鳥の森でクマ棚を見つけました。クマ棚は、ツキノワグマが木に登って実を食べた痕です。体が大きなツキノワグマは、樹上で枝を折って枝先の実を引き寄せて食べます。その時に折った枝を樹上に積み上げて、足場を作ることがあります。クマが作った棚なのでクマ棚と呼ばれます。

折られた枝に残されたドングリ
今回見つけたクマ棚は、コナラの木に作られていました。周囲の地面にも、折られた枝が何本も落ちていました。ツキノワグマが木に登って枝を折るのは、まだドングリが枝に付いている頃です。その時はまだ葉が茂っているので、折られた枝は葉が付いたまま枯れています。枝にはたくさんの殻斗(ドングリの帽子)も付いていました。この木は今年、豊作だったようですね。中にはドングリが付いたままのものもありましたよ。

食べられたドングリの殻
周囲の地面をよく見ると、割れたドングリの殻があちこちに散らばっています。ツキノワグマはドングリの殻と中身を、口で上手に選り分けて食べます。そのため、噛んで割られた殻がたくさん残されます。
ツキノワグマは、秋に大量の堅果類(ドングリやクリ、ブナなどの実)を食べて体に脂肪を蓄え、冬眠に備えます。たくさん食べれば、出すものも多いですね。次の画像はその「出したもの」なので閲覧注意ですよ。
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ツキノワグマがドングリを食べた糞
見事な巻き◯◯ですね。どんぶり1杯分ほどの量で、長さ約15cmの3色ボールペンと比較しても、その大きさが判ると思います。白い粒々は未消化のドングリの欠片です。驚くほどに殻は入っていません。それだけ上手に選り分けて食べているのですね。
今年はブナが大凶作ということで、東北地方や日本海側でツキノワグマの出没が相次ぎ、人身事故も多く起きています。被害を受けた方々には、心よりお見舞い申し上げます。軽井沢には元々ブナが少なく、コナラやミズナラも凶作ではなかったので、ツキノワグマたちは通年通りにドングリを食べ、冬眠に備えているようです。クマのニュースを聞かない日がない状況が続いていますが、地域によってクマの状況はかなり異なります。それぞれの地域の実情に合わせた、冷静な対応が望まれます。
大塚
ツキノワグマも含めた様々な野生動物の痕跡を巡る「けもの道ウォーキング」が今年も12月1日から始まります。詳しくはこちらから→「けもの道ウォーキング」
ピッキオのクマ保護管理を紹介する「クマと人との共存に向けた取り組みを学ぶスタディツアー」も開催中。