
「けもの道ウォーキング」始まりました

今年も12月1日から「けもの道ウォーキング」が始まりました。先日、その現地下見に行ってきましたよ。場所は国有林の中にぽっかりと残された民有地。現在は星野リゾートが所有していますが、なんの施設もありません。その森の中に分け入って、野生動物の痕跡を探して歩きます。

ニホンジカのツノ研ぎ跡
谷を挟んで右側が民有地。コナラ、ミズナラなどの広葉樹の森になっています。一方で左側の国有林は、針葉樹のカラマツが植林されています。そのカラマツにたくさんの傷跡。クマの爪痕と間違われることがありますが、これはニホンジカのオスがツノを研いだ痕です。

剥がされたオニヒョウタンボクの樹皮
あちこちのオニヒョウタンボクで、樹皮が剥がされて「イナウ(アイヌの祭具)」のようになっていました。もちろんこれも動物の痕跡です。おそらくニホンリスが、巣材に使用するために樹皮を剥いだ痕でしょう。オニヒョウタンボクの樹皮は紙のように薄く剥がれ、ニホンリス以外にもヤマネやヒヨドリ、メジロなどが巣材に利用します。
森にはあちらこちらの落ち葉の上に、様々な動物の糞が落ちています。またまた閲覧注意ですよ。

カモシカ?シカ?の糞
シカやカモシカの糞は、コロコロとした黒豆状です。1カ所にまとまって落ちているのは、おそらく腰をかがめて排泄するカモシカの糞ですが、カモシカにしては量が少ないような気も・・・。

イノシシ?シカ?の糞
粒々の糞をギュウッと固めたようなのは、イノシシの糞でしょうか。シカの糞も固まる事があるので、判別が難しいです。
そして見事な糞を見つけました。

ツキノワグマの糞
スマホ(iPhone SE)と比較すると大きさが判るでしょうか? ヒトのそれと見紛うばかりの大きさの、ツキノワグマがドングリを食べた時の糞です。表面はもう固くなっていたので、排泄されてから時間が経っているようです。しかしあまり落ち葉に埋もれていません。乗っているカラマツの落ち葉もわずかですから、そんなに前でもない。数日前くらいでしょうか?
さて、この森には、株立ちになったコナラの股に水が溜まり、そこにツキノワグマをはじめとする様々な動物がやってきます。10年ほど前にこの場所を発見し、しばらくセンサーカメラを設置して観察していました。
「コナラの泉」
「続、コナラの泉」
しかし、今回見に行くと・・・なんと水がない!!

枯れたコナラの泉
どうやら幹の側面に割れ目ができ、水が漏れるようになってしまったようです。それでもこの場所を覚えているクマが訪れているようで、幹には新しい爪痕や樹皮をかじった痕が残されていました。

クマ棚
この後、私は用事があって途中で抜けてしまったのですが、残ったスタッフは樹上のクマ棚も見つけました。今年の秋も、ツキノワグマはこの森にやって来て、ドングリをたくさん食べたようです。
この森を歩き回る「けもの道ウォーキング」は12月1日から3月31日まで。葉が落ちて見通しが良いですし、ツキノワグマも12月下旬頃には冬眠に入ります。雪が積もれば動物たちの足跡も観察できますよ。是非、ご参加ください。
ツアーの詳細とご予約はこちらから。→「けもの道ウォーキング」
大塚
