夜のスキー場を車で走行しながら、野生動物の姿を探す「ワイルドサファリツアー」。夏の間はニホンジカの母仔によく出逢います。おそらくメスジカたちにとって、ゲレンデの森林に囲まれた草原環境は、子育てに都合が良いのでしょう。
そして9月になり、ニホンジカの恋の季節が近づいてきました。体は明るい茶色に白い鹿子模様の夏毛から、灰色がかった冬毛へと替わり始めます。今までほとんど姿を見せなかったオスたちも、夏の間に成長させた角を携えて、メスを求めてゲレンデへとやってきます。そんな9月中旬、2回にわたってカメラ持参でガイドを担当しましたので、ツアー中に撮影した写真をご紹介しましょう。

授乳するニホンジカ
ニホンジカのメスたちは、数頭〜数十頭の群れでゲレンデの草を食んでいることが多いです。そこには大抵、春産まれや昨年産まれの仔ジカが一緒にいます。時には授乳シーンが見られることもありますよ。シカの乳首はウシと同じように、後ろ足の付け根あたりにあり、仔ジカは下から突き上げるように乳を飲みます。この写真の仔ジカは、もうけっこう体が大きいのですが、まだまだ乳離れしていないようですね。母仔とも、鹿子模様が鮮やな夏毛です。

袋角を生やしたニホンジカの若い♂
メスの小群の中に、枝分かれのない短い角を持ったオスがいました。昨年の春生まれ、1才のオスのようです。角は先端が太く丸まって見えます。まだ皮膚が被り、成長中の「袋角」です。シカのオスの角は毎年春に脱落し、夏の間に成長します。袋角の中には血管が走り、カルシウムなどの栄養分を運んで角を成長させ、角が完成すると皮膚と血管がボロボロと剥げ落ちて、中から骨のように硬くなった角が姿をあらわすのです。

ニホンジカの大人♂
立派な角を持った大人のオスが、車道より一段高い場所に座っていました。ニホンジカの角は先端が4つに枝分かれするのが完成形です。首回りも、たてがみのような毛に覆われています。ニホンジカのオスは角を突き合わせて喧嘩します。その際に鋭い角の先端から首を守る働きがあるのでしょうね。勝ち残ったオスは、メスの群れを率いてハーレムを形成します。このオスはこれからの繁殖期に、ハーレムの主になれるでしょうか?

立ち上がって森の中へと消えていきました
スキー場ではこれから人工雪によるゲレンデ作りが始まります。「ワイルドサファリツアー」の開催は、10月31日までです。
大塚