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変化する自然を捉え続ける

あっという間に夏が過ぎ、早くも葉が落ち始めている木々も見られる季節になりました。例年、クマの目撃情報も落ち着いてくるこの時期、ピッキオのクマ保護管理チームでは、「堅果類の豊凶調査」を行っています。この調査は、クマにとって秋のメインの食べ物となるドングリやクリが、その年にどれくらい実っているかを調べるものです。

豊凶調査の様子。双眼鏡で樹上のドングリを探し数える。

 

夏が終わる9月から11月にかけて、クマたちは「食欲の秋(過食期)」を迎えます。冬眠を前に大量の食べ物を摂り、体に脂肪を蓄えるためです。実は、この秋のわずか数ヶ月間で、クマが1年間に得るエネルギーの7〜8割を摂取すると言われています。

ピッキオが過去に捕獲したクマの中にも、同じ年の夏と秋で、体重が約1.6倍(55.0kg ➔ 90.5kg)にまで増えていた個体がいました。

2015年7月30日に捕獲されたメスグマ。この時の体重は55.0㎏。

2015年10月30日に再捕獲された同じクマ。90.5㎏になっていた。

 

さらに最近の研究では、この秋に蓄えた脂肪が、冬眠中だけでなく翌年の夏にかけても使われていることがわかってきました。実は、夏はクマにとって一年で最も食べ物が少ない「端境期(はざかいき=食べ物が途切れる時期)」です。春に食べていた柔らかい草は硬くなり、初夏に食べていたイチゴなどの木の実も終わってしまうためです。秋のドングリなどが実るまでの8月〜9月は、クマにとって生き抜くのが大変な時期でもあります。

 

自然界の実りは毎年一定ではなく、年や場所によって差があります。自然の一部であるクマたちもまた、その変化を敏感に察知しながら柔軟に生き抜いています。昨年の軽井沢では、町全体としては「並作(例年並み)」でしたが、細かく見ると別荘地周辺で特に実りが良い場所もありました。

変化し続ける自然の中で、私たちが目指すのは、常に人とクマが適切な距離を保ち、お互いに安全に暮らせる環境を守り続けることです。毎年の豊凶など「自然の変化」を客観的なデータとして捉え、見続けることは、自然を相手にした対策において極めて重要です。こうしたデータの蓄積は、将来的にクマの行動傾向を予測し、適切な対策を先回りして講じることにもつながるでしょう。

果たして、今年の実りはどうでしょうか。長野県と国有林の調査によると、この秋のドングリ類の実りは、東信を含めて県内では並作、国有林(奥山)では不作とのことです。私たちの結果は集計中ですが、里山のクリが良く、奥山のドングリが豊作でないという印象は、この結果と同じです。実際に、一部の別荘地周辺でもクリを食べているクマの形跡が確認されています。

 

先日、ベアドッグのスシャナが森の中でクリーム色のクマの糞を見つけました。クリを食べた痕跡です。こうした現場の小さな変化からも、秋が着実に近づいているのを感じます。

クマの糞を発見したスシャナ。クリーム色の糞はクリを食べたあとの糞。

 

クマたちが冬眠に入るまで、今シーズンも残すところあと数ヶ月。綿密な観察を重ねながら、今シーズンも最後まで丁寧に向き合っていきたいと思います。

 

角屋

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