アブラチャンのお立ち台
怒涛の10連休も終了し、軽井沢は少し静けさを取り戻しました。しかし軽井沢野鳥の森には、混雑を予想し、平日に狙いを定めて夏鳥を見にいらっしゃる方々が多く訪れています。みなさんオオルリやキビタキの美しさを堪能し、コルリやヤブサメ、クロツグミといった、ちょっと見つけるのが難しい種類を探すことを楽しんでいます。このところ、コルリがよく沢に出没しているため、多くの方がコルリの姿を見ることができたようです。
さて、私、大塚も、ガイドが終わった夕方に何度も森に出没したのですが、ピッキオから森に入ってすぐの場所で、頻繁にオオルリとキビタキが止まっている木がありました。
このキビタキは全て同一個体です。地面に降りて虫を捕っては、また枝に戻るを繰り返していました。特に遊歩道の両側から伸びる2本の木によく止まります。水平に伸びるアブラチャンに狙いを定めて、その姿を撮影しました。
キビタキが食事をしていると、そこに猛然とオオルリが突っ込んできて、キビタキを追い払ってしまいました。体が一回り大きいオオルリの方が、やはり強いのでしょう。そして見ているすぐ足元まで降りてきては、やはり地面から虫をついばんで枝に戻ります。「なわばり」が重なっていて、共存しているような2種ですが、同じような虫の捕り方をする以上、良い餌場に関しては事情が違うのですね。
実はこのアブラチャン。春先に倒れかかって遊歩道を塞いでしまったので、通行に支障がないように私が切ったものでした。その時は、まさかここに頻繁に鳥が止まる「お立ち台」になるとは予想もしていなかったのですが・・・、自然は何が起こるかわからないものです。
このお立ち台、ゴールデンウィーク中はキビタキとオオルリが頻繁に交代で止まっていたのですが、周囲の緑が増えるにつれて、次第に使われなくなってきました。活動している虫が増え、地面の虫以外にも、食べるものが増えてきたからでしょう。実際、枝先をヒラヒラ舞いながら虫を捕る、オオルリの姿をよく見るようになりました。高い木も芽吹き始めると、さらに高い枝で食事をすることが増えてきます。夏鳥観察のベストシーズンも、あとわずかです。
木々の葉が茂るのに合わせ、朝5時出発の「早朝バードウォッチング」も、5月20日で終了となります。先日は目の前でさえずるヤブサメを観察できました。「早起きは三文の得」。毎回違ったシーンとの出会いがありますので、是非ご参加ください。
大塚