軽井沢野鳥の森は冬を迎え、木々がすっかり葉を落としました。するとそれまで樹上に隠されていた諸々が、目に付くようになりましたよ。鳥の古巣やリスの巣、ヤドリギ、そして写真の「熊棚(くまだな)」です。
熊棚は、ツキノワグマが樹上の木の実を食べた痕跡です。熊は手足の鋭いカギ爪を使って上手に木を登り、枝先になっている木の実を食べます。ただ体が重いですから、細い枝先まで登ることはできません。そこで登れる所まで登ると、周りの枝を折って引き寄せ、枝先の実を食べるのです。その折った枝を木の股に積み重ねる結果、大きな鳥の巣のようなものが出来上がるのです。
今年、軽井沢野鳥の森の中では、ウワミズザクラとクリの木にそれぞれ数カ所ずつ、熊棚ができました。キビタキ休憩所のすぐ目の前のクリの木にも、熊棚ができていましたよ。
キビタキ休憩所前の熊棚
樹上の本当に高い所まで登っていることが判りますね。誤って落ちることとか無いのでしょうか?
熊棚部分の拡大
クリは葉よりも先に実を落とします。ですからクマが木に登っている時には、まだ枝にたくさんの葉が残っているのです。そのため折られた枝には、葉が枯れたまま残されています。
不安定な木の上で枝を折り、枝に付いたイガからクリを取り出し、さらに殻を割って中身を食べる。どうやったらそんな器用なことができるのでしょうか? 是非その様子を観察してみたいものですが、葉が茂った季節、しかも夜間となると、一筋縄ではいかないですね。
でも残された熊棚は、今の季節なら簡単に見つけることができます。ピッキオのガイドが案内する「野鳥の森ネイチャーウォッチング」や「けもの道ウォーキンング」でご覧いただけますよ。
大塚