冬の森で何食べる?
最近「軽井沢野鳥の森」では、冬の渡り鳥アトリの群れをよく見かけます。陽当たりの良い斜面に群れをなして舞い降り、枯葉をひっくり返しながら何かを探しているのです。しかし近付くと飛び上がって逃げてしまうことが多いので、何を食べているのかはなかなか判別できません。でも数が多いと、中には機嫌よく(?)近くで観察させてくれるアトリがいるのです。
一群のアトリが、夢中になって落ち葉をめくっているのに出会いました。拾い上げているのは、黒くて丸い実です。周囲に灰色をした落ち葉が多く、どうやらミズキの実のようです。ミズキの実は丸い種子の周りに薄く果肉と皮がついています。それも今やすっかり干からびているのですが、アトリは実を丸呑みにするでもなく、舌とくちばしを使ってコロコロと口の中で転がしています。どうやら種子を割って中身を食べたいようでした。しかし1羽が飛び立つと、釣られるように次々と飛び去ってしまいました。
茂みの奥でヒヨドリの鋭い声が響きました。木々の隙間から姿が見えたのでカメラを向けると、ムラサキシキブの枝に止まって、その実を食べていました。ムラサキシキブは梅仁丹くらいの小さな実で、中には細かい種子がいくつか入っています。ヒヨドリはこの実を丸呑みしてしまいますから、きっと中の種子は噛み砕かれずに体を通過し、糞と共にどこかへと撒かれることでしょう。ちなみにこのムラサキシキブ、人が食べてもうっすらと甘味を感じます。
小さなキツツキ、コゲラが目の前まで降りてきて、細い木の幹をつつきながら登っていました。後頭部に赤い羽毛がチラッと見える、オスのコゲラです。すると樹皮の隙間から、何か白くて長細いものを引っぱり出して食べ始めましたよ。きっと何かの昆虫の幼虫でしょう。さまざまな姿で身を隠して冬眠している昆虫を探すのは難しいことですが、キツツキは季節に関わらず、材の中に潜む昆虫を掘り出して食べることができます。そのためか、キツツキが渡りをするという話は聞いたことがありませんね。
冬の森の小鳥たちは、木の実や虫を上手に探して食べています。「野鳥の森ネイチャーウォッチング」に参加して、冬枯れの見通しが良い森で、小鳥たちのそんな姿を探してみませんか? 冬期間は10時出発の午前の部だけですが、休業日以外毎日開催しています。
大塚