



似てる?似てない?

今年の8月は軽井沢も暑い日が多かったように思います。試しにアメダスのデータを見てみると、なんと最高気温30℃を超える真夏日が、8月だけで10日間もありました。これでも一応、熱帯夜は1日もないですから、避暑地の面目躍如といったところでしょうか。標高1000mの軽井沢では、日差しが強く気温以上に暑く感じますが、木陰に入れば涼しい風が吹き抜けます。
さて、暑い暑いと言っていても、季節は確実に進んでいきます。軽井沢野鳥の森では、秋の花が咲き始めていますよ。

キバナアキギリ
キバナアキギリはサルビアの仲間です。真っ赤なサルビアとは色が異なりますが、形はよく似ていますね。サルビアの花を引っこ抜いて、花弁の根元に溜まった花蜜を吸った思い出がある方もいらっしゃるのではないでしょうか? はい、私は小学生の頃、学校の花壇でサルビアの花を吸いまくってました。
キバナアキギリの花にはトラマルハナバチが訪れ、その花蜜を吸います。するとキバナアキギリは驚くべき方法でハチのお尻に花粉を擦り付けるのですが、その秘密は「野鳥の森ネイチャーウォッチング」に参加して、ご自身の目でお確かめください。

ノブキ
遊歩道や小瀬林道の脇にたくさん生えているノブキですが、今年はあちこちで動物に食べられていました。茎の先端がなくなったノブキがそこらじゅうに見られます。急激な食痕の増加は、増えているニホンジカの仕業である可能性が高いと考えています。
食べ残された株や、食痕の脇から花茎を伸ばした株が、花を付け始めています。小さな花の集まりのまわりには、大きな子房を持った花が並び、小さな勲章のようですね。ノブキは外側の花だけが実を結び、中央の花は実を結ばないそうです。実から生える赤いトゲトゲは、動物の毛皮に引っかかって実を遠くに運ぶのに役立ちます。

ゲンノショウコ
アイキャッチ画像にも使用しましたが、薬草として「現の証拠によく効く」のが語源のゲンノショウコです。軽井沢では白い花を咲かせる株が大多数です。でも時々、赤紫色の花を付ける株もありますよ。

ゲンノショウコ
野鳥の森の入口付近で、赤紫色のゲンノショウコを見つけました。この株は花弁も細く、花だけを見たら同じ種類とは思えませんね。白い花は青い雄しべが、赤紫色の花はヒトデのような赤い雌しべが目を引きますが、これは咲いてからの日数の違いです。ゲンノショウコは雄性先熟。雄しべが先に成熟して花粉を出し、雌しべが成熟して開くと雄しべが落ちるのです。

ミツバフウロ
こちらは白いゲンノショウコのそっくりさん。葉が3つに裂けるので「ミツバフウロ」と呼ばれます。ゲンノショウコよりも日陰を好み、森の中の遊歩道や、まわりが他の草に覆われた場所で見られます。となりの草に寄りかかりながら、ゲンノショウコよりもヒョロヒョロと高く伸びます。よく似た植物が、ちょっとした環境の違いで棲み分けているのですね。
最後に、8月29日に遊歩道を巡回して確認した開花植物は以下の通りです。8月末は一年で一番花の種類が多い季節です。漏れ抜けや誤同定がありましたらご容赦ください。
草の花:オオハンゴンソウ、ヒメジョオン、ダイコンソウ、ゲンノショウコ、チヂミザサ、ハキダメギク、ミズヒキ、クサコアカソ、ノブキ、シラネセンキュウ、ユウガギク、ムラサキツメクサ、ツユクサ、セキヤノアキチョウジ、ヤマジノホトトギス、シラヤマギク、ハナタデ、キバナアキギリ、ミツバフウロ、イヌトウバナ、キンミズヒキ、ミゾソバ、ノコンギク、ツリフネソウ、モミジガサ、ムカゴイラクサ、キツネノボタン、シシウド、ミヤマタニソバ、ミヤマヤブタバコ、ヌスビトハギ、ミツモトソウ、ヤマニガナ、オトコエシ、ヒヨドリバナ、ヤマウド、ヤマゼリ、キオン、フシグロセンノウ、イタドリ、オオブタクサ、ハエドクソウ、ハンゴンソウ、シロヨメナ、ブタクサ、オオガンクビソウ、ウスゲタマブキ、トネアザミ
木の花:ヤマハギ、タラノキ
大塚

